第3回低温溶融塩・イオニックリキッドセミナー

 

プログラム

1.溶融塩中での電気化学測定の事例(同志社大学工学部)盛満正嗣

溶融塩を用いる電気化学測定での原理、操作、解析方法は、基本的 に水溶液におけるものと同じであるが、溶融塩の有する性質や電気 化学測定を行う条件などを考慮すると、水溶液などの他の溶媒とは 異なる工夫が必要な面もある。本講演では、クロロアルミネート系 溶融塩を中心として、電池や電析への応用を目的とした溶融塩系で の電気化学測定の事例を取り上げ、測定セル、電極材料、測定条件 とその解析方法などについて、講演者がこれまで経験した問題点・ 注意点やまたそれらに対して行ってきた工夫などを紹介する。

2.走査型プローブ顕微鏡による電極表面のイオン液体中その場観察(大阪大学大学院工学研究科)平井信充

AFMやSTM等の走査型プローブ顕微鏡(SPM)は真空中、大気中のみな らず、溶液中においても固体表面の観察が可能な装置である。電気 化学SPMによる水溶液中での電極反応のその場観察は電気化学反応 に関する様々な興味深い知見を与えてきた。一方、イオン液体は電 析や電池等、様々な分野における新しい電解液として期待されてお り、イオン液体中での電極反応の直接観察も非常に興味深いと考え られる。そこで、本講演では、電気化学SPMをイオン液体中電極表 面観察に適用した事例について、我々の観察結果を中心に、観察上 苦労した点等も交えて紹介する。

3.金属イオンを含む疎水性イオン液体の性質と電析への応用(京都大学大学院工学研究科)邑瀬邦明

電析プロセスの溶媒には通常は水(水溶液)が使用される。これに 対し、イオン液体を溶媒に用いることで、電析技術にいくつかの新 たな可能性が拓け る。一つは水溶液からは電析できない「卑な」 金属の電析、もう一つは水溶液では困難な中低温域での電析である。 前者はイオン液体の広い電位窓、後者は高い熱的安定性と不揮発性 を利用するアプローチである。本講演では疎水性の脂肪族四級アン モニウムイミド塩を金属電析に用いた研究を概説するとともに、金 属イオンを含有するイオン液体の諸物性とあわせ、このプロセスが もつ問題点と可能性を抽出する。

4.燃料電池への応用(京都大学大学院エネルギー科学研究科)野平俊之

現在、無加湿・中温(120〜150℃)作動可能な固体高分子形燃料電池 (PEFC)の開発を目的とした研究が盛んになされている。既存の概念 ではPEFCは「プロトン伝導が必要」とされているため、ほとんどの 研究が、イオン液体の適用も含め、中温で作動する新規なプロトン 伝導電解質膜の開発を行っている。一方、講演者らの研究グループ は、これまでに、HF系イオン液体である1-ethyl-3- methylimidazolium fluorohydrogenate (EMIm(FH)nF)を合成し、こ れが高い導電率および広い液相温度領域を持つこと等を報告してき た。そして、フルオロハイドロジェネートイオン((FH)nF-)伝導によ り燃料電池が作動することを見出した。この燃料電池は、原理的に 無加湿においても作動する。講演では、イオン液体中における電極 反応の検討結果、このイオン液体とポリマーをコンポジット化した 膜電解質の特性、室温〜140℃における発電性能等を紹介する。

  • 参加申込締切:

平成17年12月28日(水)(先着順100名まで))

  • 参加費(テキスト代,
    消費税を含む):

協賛学協会会員4,000円,溶融塩委員会委員1,000円,学生無料,会員外6,300円(なお、セミナー当日、溶融塩委員会への入会をお申し込み頂き、入会された場合、参加費を1,000円とさせて頂き、差額を溶融塩委員会の入会金・年会費の一部とさせて頂きます。是非とも溶融塩委員会への入会をご検討下さい。)

  • 懇親会(消費税を含む)

平成18年1月12日(木)17:15より(:神戸大学瀧川記念学術交流会館(図中16番)).会費3,000円,学生2,000円

  • 参加申込方法:

1.参加者氏名,2.所属,3.連絡先(郵便番号,住所,TEL,FAX,E-mail),4.会員資格,5.懇親会出席の有無を明記し,下記申込先までE-mailまたはFAXでご連絡下さい.
E-mailでのお申し込みを推奨いたします。

  • 申込先・問合せ先:

278-8510 千葉県野田市山崎2641 
東京理科大学 理工学部 工業化学科 小浦・井手本研究室内 
宇井幸一 (TEL 04-7124-1501(内線5522),FAX04-7123-9890,kui@rs.noda.tus.ac.jp